「GPT-3.5」「GPT-4o」など、ChatGPTにはいろいろな“モデル”があるけど、正直、何が違うの?どれを選べばいいの?そう思ったことはありませんか?
ChatGPTを使う上で「モデルの違い」を理解することはとても大切です。
なぜなら、モデルごとに得意なことや使える機能、スピードや精度に大きな差があるからです。
この記事では、各モデルの特徴をわかりやすく紹介し、あなたに合った使い方ができるようになることを目指します。
この記事でわかること
この記事を読めば、以下のことがわかります:
- ChatGPTに使われているAIモデルとは何か
- GPT-3.5、GPT-4o、oシリーズなど各モデルの違い
- それぞれのモデルが得意なタスクと使いどころ
- 自分の目的に合ったモデルの選び方
つまり、「自分にぴったりのChatGPTモデルを選べるようになる」ことがこの記事を目的です。
AIモデルとは?

AIモデルは、与えられた情報(=入力)に対して、最もふさわしい答え(=出力)を生成するため仕組みです。
モデルというのは、たくさんの言葉や文章を学習して、言葉の使い方やルールを覚えたAIのことです。モデルにはいろいろな種類があって、それぞれできることや得意なことが少しずつ違います。ですので、使う目的に合ったモデルを選ぶことが大切なのです。
たとえば、ChatGPTに「今日の北海道の天気は?」と尋ねると、それを理解し、文脈に応じた回答を返してくれます。これは、AIが言葉の意味や使い方をたくさん勉強していて、「何を聞かれているのか」「どう答えればよいか」を判断できるようになっているからです。ChatGPTは、こうした「たくさんの文章を勉強して会話ができるAI」の一つで、「大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)」と呼ばれています。
AIモデルにはさまざまなバージョン(GPT-3.5、GPT-4、GPT-4oなど)があり、それぞれ性能・速度・対応できるタスクに違いがあります。この違いを理解することで、用途に合ったモデルを選び、ChatGPTをより効果的に使えるようになります。
ChatGPTのモデルごとの違い
GPT-3.5
GPT-3.5は、無料で使えるモデルで、ChatGPTを初めて使う人や、簡単な会話や文章作成をしたい人にぴったりのモデルです。
日常的な質問に答えたり、短い文章を書いたりするのが得意です。ただし、難しい内容や細かい判断が必要な場面では、上位モデルと比べて精度がやや劣ります。
たとえば、「明日の予定をわかりやすくまとめて」や「簡単な英語の自己紹介文を書いて」といったお願いにはしっかり答えてくれます。一方で、「ビジネス向けの資料を要約して」や「コードのバグを直して」といった専門的な作業には限界があります。
GPT-4o
GPT-4oは、ChatGPTの中でも最新かつ最先端のモデルで、文字だけでなく、音声や画像にも対応できる特別なモデルです。
これまでのモデルはテキストだけのやりとりでしたが、人の声を聞いて答えたり、画像を見て内容を理解したりできます。つまり、見たり聞いたりしながら考えるAIになりました。
たとえば「この写真に写ってる食べ物は何?」と画像を見せれば答えてくれたり、「この音声を聞いて内容をまとめて」とお願いすれば、話し声を文字に変換して内容をまとめてくれたりします。また、声で質問すると、まるで人と話しているように声で返してくれることもあります。
無料でも使用できますが、使用回数の制限を超えるとGPT-4.1 miniに切り替わります。
ほとんどのタスクに最適とされているモデルです。
GPT-4o mini
GPT-4o miniは、動作が速くて軽いモデルで、ちょっとした作業にピッタリです。
「GPT-4o mini」は、GPT-4oの弟分のようなモデルで、処理がスピーディーなのが特長です。複雑な問題には向いていませんが、短い文章の作成や定型的なやりとりにはとても効率的です。
たとえば、「お礼のメールを短く書いて」や「SNSの投稿文を考えて」など、すばやく簡単に済ませたい作業にぴったりです。少しでも時間を節約したいときに、さっと使えるのが強みです。
日常の作業を高速化できるモデルです。
GPT-4.5
GPT-4.5は、とても賢いモデルですが、「自分で考えを進めて答える」タイプのAI(=推論モデル)ではありません。
OpenAIが出している「oシリーズ」(たとえばo3やGPT-4o)は、自分で考えを何段階も進めて、答えを導く力=推論力をもったモデルです。一方、このGPT-4.5は、そうした推論機能(たとえば“考えをたどる力”)は持っていません。OpenAIの社長サム・アルトマンは、「GPT-4.5は、そういった思考力を持たない最後のモデルになる」と発言しています。
GPT-4.5は、正確な言葉づかいや感情表現が上手なモデルで、会話や説明文などではとても自然に見える一方で、“じっくり考えて答える”タイプではないというわけです。
Plusプランだと研究プレビューモードとして使用することが可能です。
o3
o3は、複雑な問題解決や深い思考を必要とするタスクに強い「最も深く考える力=推論力に優れた最新モデル」と言われています。
さらに、自分で必要なツールを選んで使えるようになっています。調べ物が必要ならネット検索をしたり、計算が必要ならプログラムを動かしたりします。また、画像を見て考える力(マルチモーダル)もあり、写真や図をもとに答えを出すこともできます。
たとえば、「どの買い物が一番おトク?」といった問題を条件をくらべながら考えて答えを出すことができます。また、「グラフの画像を見て説明して」とお願いすれば、それを読み取って内容を説明してくれます。わからないことがあれば、自分でネットで調べて、計算があれば自分で実行してくれるので、まるで自分で考えて行動できるAIのように使えます。だから、勉強や研究、仕事のアイデア出しなど、むずかしいことを整理して考えたいときにとても役立ちます。
高度な推論を使用する際に最適なモデルです。
o4-mini
o4-miniは、小さくて軽いのにとても頭がよく、早くて使いやすいAIモデルです。
このモデルは、スピードが速くて、たくさんの質問に同時に答えられる力があります。しかも、考える力(推論)も前よりずっとレベルアップしています。
o4-miniはサイズが小さいモデルなのに、o3と同じようにいろいろな機能が使えます。
たとえば、ネットで調べたり、プログラムを動かしたり、画像を見て考えることもできます。
「小さくても何でもできる」便利なAIです。
o4-mini-high
「o4-mini」の高精度版です。「o4-mini」よりも賢くて、正確な答えを出す力が強くなっているのが特徴です。
少しだけ動きがゆっくりになることもありますが、その分、高品質な回答が得られます。
また、大きなAIモデル(たとえばo3)よりも使うコストが安く、効率がいいのも魅力です。
たとえば、「むずかしい技術のレポートを書いて」や「図を見て詳しく説明して」というような、考える力が必要な仕事をさせるときに活躍します。また、画像をきれいに作る作業や、論理的に答えを導く問題にも向いていると言われています。
GPT-4.1(2025.5時点 最新モデル)
2025年5月に公開された最新モデル「GPT-4.1」。
実は、2025年4月にはAPI機能として先行公開されており、5月からはChatGPT上でも利用できるようになりました。
このモデルの特徴は、コーディングに特化している点にあります。
特に精密な指示の理解力やWeb開発タスクへの対応力に優れ、GPT-4oを上回ると言われており、さらに、OpenAI o3やo4-miniの代替モデルとしても注目されています。
長文処理能力、指示への追従性、コーディング性能、そしてコスト効率のすべてにおいて、従来モデル(GPT-4oやGPT-4.5 Preview)を凌駕した、実用性の高いAIモデルです。
GPT-4.1 mini
従来の「GPT-4o mini」に代わる高速・高性能な軽量モデル。
GPT-4o miniの後継として登場し、指示への追従性、コーディング性能、全体的な知能のいずれも向上している。
また、GPT-4oの使用上限を超えた場合には、自動的にこのモデルが代替として利用される仕組みとなっています。
モデルの動作検証

GPT-4.1
本来禁止されている応答をAIから引き出すプロンプト(=ジェイルブレイク)への耐性について、GPT-4.1は人間によるジェイルブレイクへの耐性は非常に高く、安全性に優れていることがわかります。GPT-4oやOpenAI o3には一歩及ばないものの、実用上は十分な水準です。一方で、学術的なジェイルブレイク(StrongReject)には弱い(0.23)ため、人間相手には強いが理論的攻撃には脆弱という特性を持っているといえます。


ハルシネーション評価では、GPT-4.1はPersonQAにおいて非常に高い精度を示しており、人物に関するファクト確認に強みを持っています。そのため、実務や調査・ライティングなどの用途において高い信頼性が期待できます。一方、SimpleQAではスコア0.40と平均的な性能ですが、GPT-4o-latestとは同等レベルであり、OpenAI o3にはやや劣ります。
全体としては、GPT-4.5が両評価で最も優れた性能を示しており、精度を重視する用途では最有力モデルといえます。
なお、ミニモデル(mini、mini系)は全体的に精度が低く、事実確認を必要とする用途には適していません。


GPT-4o、GPT-4o mini、GPT-4.5
文章の翻訳リレーで検証してみます。
渋沢栄一の名言の一部を引用して、下記の文章をAIに渡して、日本語→英語→フランス語→日本語の順で翻訳して、翻訳前後の文章比較をしてみます。
- 「夢なき者は理想なし、理想なき者は信念なし、信念なき者は計画なし、計画なき者は実行なし、実行なき者は成果なし、成果なき者は幸福なし。故に幸福を求める者は夢なかるべからず。」
- 「四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ。」
- 「人はこの世を『黄金の世界』にする責任がある。」
- 「私の素志は適所に適材を得ることに存するのである。」
- 「成功や失敗のごときは、ただ丹精した人の身に残る糟粕(そうはく)のようなものである。」
GPT-4oの結果はこちら


句構造・文脈ともに忠実。文学的な文も破綻していませんでした。
十分に高速でした。ただし、一瞬の処理待ちが生じるため、最高速ではない印象です。
GPT-4o miniの結果はこちら


全体的には十分に精度の高い翻訳だが、少し直訳的な部分がありました。
翻訳のスピードは非常に速く、手順に従ってスムーズに進行していました。
GPT-4.5の結果はこちら


一文一文を丁寧に処理している印象があり、丁寧に処理している印象。
特に難しい表現(例:「糟粕(そうはく)」や「洟垂れ小僧」)も、若干柔らかく現代的表現に変化していますが、本来の意味を損なうことなく、自然な形で翻訳できています。
翻訳作業はスムーズに完了し、待ち時間はほとんどありませんでした。
o3、o4-mini、o4-mini-high
下記のような登場人物の年齢を推察する問題を解いてもらい、どのような思考プロセスをとるのかを見てみます。
Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人がいます。
以下の情報がわかっています。
・BさんはCさんより4歳年上です。
・DさんはAさんの2倍の年齢です。
・EさんはCさんより3歳年下ですが、Aさんより1歳年上です。
・現在のCさんの年齢は、DさんとEさんの年齢の平均と一致します。
このとき、AさんとBさんの年齢の差はいくつですか?
o3の結果はこちら


6秒の思考時間でした。
計算式と共に結果を導いた計算プロセスを明記してくれました。
AIモデルがどのように思考してくれたのかが良く分かります。
たった6秒で答えを出してくれるのは優秀すぎますし、張り合おうなどとは一切思えません。むしろパートナーにしたいですよね。
o4-miniの結果はこちら

思考時間は即答でした。
スピードは圧倒的でした。しかしプロセスが非常に簡素という印象です。
スピードを重視しているモデルというのが良く分かります。
o4-mini-highの結果はこちら

11秒の思考時間でした。
o4-miniよりも時間がかかっていますが、思考プロセスをしっかりと書き出してくれています。
まとめ
モデルが発表された年と特徴を表にまとめました。
モデル | プラン | 登場した年 | 特徴 |
---|---|---|---|
GPT-3.5 | Free | 2022年11月 | 無料プランで使用可能。基本的な会話。質問応答が得意 |
GPT-4o mini | Free,Plus | 2024年7月 | 動作が速くて軽いモデルで、ちょっとした作業にピッタリ |
GPT-4o | Free,Plus | 2024年5月 | 最先端のモデルで、文字だけでなく、音声や画像にも対応できる特別なモデル |
GPT-4.5 | Plus | 2025年2月 | 正確な言葉づかいや感情表現が上手。但し、自分で考えを進めて答えるタイプのAI(=推論モデル)ではない |
o3 | Plus | 2024年12月 | 学習データを基にしつつ、段階的な推論や問題解決能力を持ち、複雑・未知の問題にも対応できる。イメージは「自分で考える」 |
o4-mini | Plus | 2025年4月 | o3同等性能でありながら動きは軽量。 |
GPT-4.1 | Plus | 2025年5月 | 文処理能力・指示追従性・コーディング性能・コスト効率のすべてにおいて、従来モデル(GPT-4oやGPT-4.5 Preview)を凌駕した実用AIモデル |
GPT-4.1 mini | Free,Plus | 2025年5月 | GPT-4o miniの後継。高速な小型モデルで、指示への追従、コーディング、全体的な知能においてGPT-4o miniと比較して向上。 |
今回は、ChatGPTに使われているさまざまなAIモデルの違いについて紹介してきました。
モデルによって、「できること」や「得意な作業」、「スピード」や「正確さ」が違います。それぞれに向いている使い方があるので、「何がしたいか」に合わせてモデルを選ぶことが、ChatGPTをうまく使うコツです。
将来的には、AIが自動で最適なモデルを選んでくれるようになり、ユーザーが細かく選ぶ必要もなくなるかもしれません。まずは自分に合ったモデルを見つけて、楽しく・かしこくAIと付き合っていくことが大切ですね!